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Column

交通事故

2021/02/23

自動車保険について④(健康保険)

今回は、交通事故に派生する問題として健康保険について書こうと思います。

病院の治療費(診療報酬)は、診療単価に、治療内容に応じた点数を乗じて算出されます。

  • 健康保険を使用する保険診療の場合は、1点につき10円の診療単価と定められています。
  • 健康保険を使用しない自由診療の場合は、それ以上の金額になります(1点12円~20円程度であることが多いです)。

相談者の中には、病院側から「交通事故だから健康保険は使えません」という説明を受けたという方が一定数いらっしゃいますが、法的には、交通事故で健康保険を使えないということはありません
一方で、「何で相手のために自分の健康保険を使ってやらないといけないのか。」という考え方をする相談者の方も、一定数いらっしゃいます。

色々な考え方があるとは思いますが、「健康保険を使ったほうがよいのかどうか」という考慮要素として、知っておいたほうがよいポイントをまとめました。

ポイント1 自身の過失が大きい場合には、健康保険での治療の方が自身の経済的負担も減少します。

例えば、次のような例では、健康保険を使用して治療をすることで、健康保険を使わない治療よりも、自己負担額が40万円減少します。

  • 事例
    交通事故が発生して怪我をし、健康保険を使うと治療費200万円だったのに、健康保険を使わなかったために治療費300万円となったとします。

ここで、上記事例が自身にも4割の過失割合が生じる交通事故だったとすると、4割分の治療費は自己負担すべき部分となり、最終的に支払われる損害賠償金から差し引かれます(損益相殺)。
つまり、自由診療では120万円(300万円×4割)が自己負担分となりますが、健康保険を使っていれば80万円(200万円×4割)の自己負担分で済んだことになります。

ポイント2 相手方が任意保険未加入の場合等では、相手に直接請求しないといけないことがありますが、治療費が高額になるほどの回収が困難となります。

相手方の自賠責保険があっても、当該上限120万円を超えるときには、当該上限120万円を超える部分は、相手の手出しになります。そのため、それを負担する相手側の支払能力等の問題が生じます。

治療費は、被害者自身の手元には残らない(最終的には病院へ支払わなければならない)ものです。健康保険を使用して治療費を抑えておいた方が、相手側の事情によって、回収までをスムーズに行えるケースが存在する、ということです。

例えば、上記の【事例】では、健康保険を使わなければ、自由診療費300万円までを相手側から回収しなければならなくなります。一方で健康保険を使えば、自身は相手方から健康保険の3割負担分60万円(200万円×3割)を回収すれば良く、残り140万円の回収は健康保険協会等が担います。相手側も、治療費は合計200万円の負担で済みます。

ポイント3 大きな事故の場合等に、健康保険の対象外となる最先端医療等を受けたいというときには、自由診療を選択することになります。

ただし、昨今では、保険対象外だったブラッドパッチ(脳脊髄液減少症に対する治療法)も平成28年4月から保険診療可能となるなど、交通事故負傷に対する、保険対象外医療は少なくなってきていると思います。

 

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